コンビニ人間
著者:村田沙耶香
あらすじ
古倉恵子は生まれつき、周りとは何か違っていた。
皆の言う「普通」がわからない。
そんな恵子が普通で居られる場所を見つける。それは「コンビニ」。
コンビニの店員としてマニュアル通りに働くことで、恵子は「普通」を手に入れることに成功する。
それから10年。ある日「普通」ではない新人のバイトが入ってきたことで恵子の「普通」の生活が変わり始める。
感想。
ちょっとネタバレ含みます。
読了後は、読んでよかったのか正直わからなかった。
まぎれもなく面白い一冊です。読みだしたら一気に読みました。
ただ、内容はすごく尖っていて、翌日までもザラザラとした感覚が心の中に残って
引きづってしまいました。
それくらい心をえぐられる。そんな作品です。
普通とは違う主人公・恵子。
彼女に普通を求める「普通」の人達。
でも主人公の視点を通すことで、その「普通」の人の会話が怖くて、気持ち悪く感じる。
それがこの作品の本当にすごいところです。
「普通」を必死に主人公は求めるがわからない。
コンビニで働くことで「普通の生活」を手に入れたと思っていたのに、「普通」を求めるあまり主人公の中で「普通の生活」が崩れていく。
その描写が軽やかなんだけど、とても苦しい。
自分はなんだか、周りとは少し違うんじゃないか?と一度でも考えることがある人から見ると、「主人公側」の気持ちも、「普通の人達側」の気持ちもわかる。わかるからもどかしい気持ちが押し寄せます。
皆違ってみんないい。というもののやっぱり世間の大半は「普通」を求めている。それが当たり前の幸せと信じて。
ラストも救われたようで、救われない。
やっぱり苦しい作品。
でも世の中にはこういう作品が必要なんですよね……
読まなきゃよかった。でも読んでよかった。これが率直な感想です。
芥川賞取るのも納得。本当にすごい作品です。